病院の空調には、消費電力を抑えながら院内をムラなく温めたり冷やしたりでき、来院者の体に負担をかけない放射・輻射式冷暖房が適しています。この記事では、実際の導入事例とともにおすすめの機種をご紹介します。
放射・輻射式冷暖房は院内をムラなく温めたり冷やしたりが可能で、不快なドラフト感で来院者の体に負担をかけることもありません。 規模が大きい総合病院のエントランスホールといった大空間には、床上2メートル程度の居住域のみに空調を効かせる床放射冷暖房が、天井高がそれほど高くないエリアでは、 床放射に加えて天井放射冷暖房も適しています 。
床や天井を放射板とする冷暖房であれば壁面を有効に活用でき、ベッドやその他什器類、医療ガスの供給口といったレイアウトの自由度が上がります。 小規模なクリニックにおいては、壁掛け型やスクリーンタイプの放射・輻射式冷暖房も有効です。

製品名
セントラルサーモシステム(冷温水式)
解説
太陽光・風力発電や井水熱利用ヒートポンプ・蓄熱システムを導入し、次世代型グリーンホスピタルを掲げる足利赤十字病院では、講堂と吹き抜けのホスピタルモール(中央広場)にセントラルサーモシステムを採用しています。
床を放射面とするセントラルサーモシステムは、冷房時16℃~18℃、暖房時35℃~40℃程度という中温域の冷温水を使用して、放射効果による熱のやり取りによって快適な環境を作ります。
講堂は災害発生時に被災者を収容することを想定しているため、エネルギー消費を抑えながら快適な環境を保てる床放射冷暖房は、いざという時にも力を発揮する設備といえるでしょう。

製品名
製品名
セントラルサーモシステム(冷温水式)
解説
がん診療連携拠点病院であり、高度な医療を提供して地域医療を支える基幹病院である金沢医科大学病院。同病院の中央診療棟1階エントランスに、床放射冷暖房のセントラルサーモシステムが採用されました。
エントランスは3層吹き抜けになっているため、居住域だけに空調を効かせる放射式・輻射式冷暖房が高い省エネ性を発揮します。
製品名
セントラルサーモシステム(冷温水式)
解説
総合案内、総合受付などがあるホスピタルガレリアやラウンジにセントラルサーモシステムが導入されました。ホスピタルガレリアとラウンジは2層吹き抜け構造になっているため、居住域空調を行うセントラルサーモシステムならば、消費電力を抑えながら快適な環境を作ることができます。
温度ムラがなく、ドラフト感もほとんどない空調なので、来院者の体に負担がかかりません。
「病院における空調・衛生設備の技術・運用に関する実態調査(第2報)アンケート調査結果(空調設備編)」によると、病院に導入される空調はファンコイルユニットの個別空調が多く、次にパッケージエアコンが多いとされています。
患者さんによって適した温度が異なるため、病院では個別に空調を管理するのが基本です。近年では感染症の流行により空調設備への注目度も高まっています。どのタイプの空調を取り入れるべきか、メリットデメリットを見ていきましょう。
ファンコイルユニットは病院全体の空気管理を行う空調方式です。送風機と熱交換器が一体化しているもので、ペリメータゾーンと呼ばれる窓際や出入り口の多い病院に設置される例が多いです。中央管理室で制御を行い、部屋ごとに電源や温度の調整ができます。
部屋ごとに送風機があるため、定期的なフィルターの洗浄などのメンテナンスの手間はありますが、患者さんに合わせた温度管理ができるのがメリットです。
ファンコイルユニットにもいくつか種類があります。
さらに配管の本数によって「2管式」と「4管式」と分かれていたり、「標準モーター搭載式」と「省エネモーター搭載式」のようにモーターにも種類があります。メーカーとどの形式が向いているかよく相談するのが大切です。
パッケージエアコンは家庭で使うエアコンに似たタイプのエアコンで、室内機と室外機がセットになっているのが特徴です。室外機を一つ設置すれば、数台の室内機が使えるので、省スペースでの運用ができるメリットがあります。
家庭用のエアコンが3馬力なのに対し、パッケージエアコンは業務用で10馬力まで出るので、広い病室でも使いやすいです。
パッケージエアコンにはオフィス用、設備用(工場用)、ルーフトップ型パッケージエアコンの3種類があります。室内機も以下のような種類があります。
ダクト型が設置の自由度が高いとされており、カセット型は導入例が多い型です。天井カセット型とダクト型の両方を取り入れたビルトイン型のように、見た目もスッキリさせて機能性もあるタイプもあります。
病院で空調設備を導入する際に気を付けておきたいのが、「患者さんによって温度の感じ方が違う」という点です。過ごしやすい温度に設定するのは基本ですが、入院してベッドに寝ている患者さんと、面会に来た人、診察に来た患者さんと動き回っている看護師や医師の感じる温度も異なります。
また、吹き出し口から近い人は寒さや暑さを感じやすく、遠い人は温度変化を実感しにくいですし、建物の向きや病室や診察室の向きによっても感じる温度に差がでます。
クレームの少ない環境づくりのためにも、設置する空調のタイプと病院の建物の条件などを確認するようにしましょう。
病院は、様々な症状の人が行き来します。空調の感染防止は必須。以下の6点に注意して設置するのが望ましいです。
また、掃除やメンテナンスを定期的に行い、ハウスダストやカビの発生を防ぐことも大切です。
病院は商業施設のような一般的建物への設置とは違い、感染防止の観点から考えて環境に対しての配慮が不可欠です。
病院の空調は「温度や湿度を含めた空気」「明るさ」「音」「ニオイ」を考慮した環境整備が求められます。4つの要素の中で空気、音、ニオイに関して、空調設備を整備することで改善が期待できます。
病院は治療する場所ですが、生活もしなければなりません。家と同じようにストレスがかからない環境が求められます。もし空気が暑すぎる、寒すぎるという環境なら快適に過ごせません。音がうるさい、変なニオイがする場合でもストレスがかかってしまいます。免疫力低下、内分泌異常など、病気の悪化につながりかねません。体と心の健康から考えても、空調による環境整備は重要です。
米国暖房冷凍空調学会(ASHRAE)は、湿度が低い=空気が乾燥している状態では、喉の粘膜の防御機能が低下すると訴えています。喉の粘膜の防御機能が正常でないと、インフルエンザウイルス対策ができずにかかりやすいとも考えています。
逆に湿度60%以上では、カビやダニや結露の原因になるので要注意です。病気を治療するための病院の衛生管理に問題があってはいけません。衛生管理の観点からも環境の整備はしておくべきです。
日本は高温多湿であるため、結露にも注意が必要です。病院内で結露が発生すると、カビなどによる不衛生な環境を引き起こします。
そもそも結露とは、空気中の余分な水蒸気が水滴になったものです。
空間に存在できる水蒸気量(飽和水蒸気量)には上限がありますが、「暖かく湿った空気が冷やされる」ことで飽和水蒸気量が下がります。飽和水蒸気量の上限以上の水蒸気は水滴となり、窓や壁、カーテンなどに結露が発生する仕組みです。
また、結露はカビの原因となります。病院内でカビが発生すると、中毒反応やアレルギー反応などの症状を引き起こします。病院内を衛生的に保つためには、結露の発生を防ぐことが大切です。
結露が発生しやすいのは、秋や冬の季節です。結露は真冬に発生するイメージがありますが、秋の始まりや初冬にも発生しやすくなります。
結露が発生しやすい状態とは、「外気温が低くて室温が高い(外と室内の温度差が大きい)、かつ湿気が多いとき」です。つまり、台風や大雨の発生などで湿気が多くなりがちな秋や初冬でも、外気温と室温の差が大きいと結露が発生しやすくなります。
病院の空調は、温熱環境設計、無風、無音、コスト面から考えると輻射式冷暖房がおすすめです。その理由を解説します。
輻射式冷暖房は事前に温熱環境設計をするのが特徴です。病院の空調設備は、医療機器の種類、各機器の発熱量をはじめとして、気象条件や建物条件を考慮に入れた高いレベルでの温熱環境設計が求められます。輻射式冷暖房は条件に合致しているため、失敗するリスクが低いといえるでしょう。
輻射式冷暖房は無風、無音です。患者さんの中には音に敏感な方もいます。医療従事者にとっても、他の方の声が聞き取りづらいという問題を避けられるのが利点です。また、風が強いとウイルスやホコリが巻き上がるという問題があります。輻射式冷暖房なら対処できますし、衛生面の環境構築に適しています。
輻射式冷暖房は風を使う空調とは違うため、設定温度の緩和ができます。フィルター清掃も要りません。省エネという観点からも、無風での温度調整はメリットがあります。
省エネで快適な環境づくりに優れた放射式・輻射式冷暖房ですが、建造物の構造その他の条件によって設置できる製品が限られる場合があります。
導入を検討する際には、空気式、冷温水式両方の扱いがあり、専門家の視点から適切なアドバイスをくれるメーカーを選びましょう。
本サイトでは、放射式・輻射式冷暖房の導入目的別に適したメーカーを紹介。ぴったりな製品が見つからない…と諦める前に、ぜひ参考にしてみてください。
条件に合った
輻射式・放射式
冷暖房が見つかる

2022年9月15日現在、「輻射式冷暖房」「放射式冷暖房」で検索して表示された輻射式冷暖房メーカー35社のうち、納入事例数が多い2社(※)をピックアップしました。
※個人住宅への納入事例は除く。
