業務用冷暖房システムでは、冷媒として広くフロンガスが使用されています。フロンガスは冷凍・空調機器の熱交換を可能にし、温度制御を効率的に行うために不可欠な存在です。しかし、フロンガスには大きな環境負荷があることが分かり、世界的に厳しい規制が進んでいます。
特に業務用機器は家庭用よりも規模が大きく、管理者が適切に運用しなければ、フロンガス漏えいによる環境破壊が加速してしまう恐れがあります。フロンガスには種類があり、CFC(クロロフルオロカーボン)やHCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)はオゾン層破壊物質として規制されてきました。
代替冷媒として登場したHFC(ハイドロフルオロカーボン)はオゾン層への影響はないものの、地球温暖化係数(GWP)が非常に高いため、依然として環境への負荷が無視できません。現在はHFCの代替として、GWPの低いR32や自然冷媒(CO2やアンモニア)などへの移行が推進されています。
日本では「フロン排出抑制法」に基づき、業務用冷暖房機器の管理者に対して厳格な管理が義務付けられています。第一種特定製品として指定される業務用エアコンや冷凍機器は、所有者が適切に点検・管理しなければなりません。これには2種類の点検が存在します。
簡易点検は、目視や聴音を中心に3ヶ月に1回以上行う必要があります。フィルターや配管の異常、異音、オイル漏れがないかを定期的に確認することで、フロン漏えいの早期発見が可能になります。
一方、定期点検は一定規模以上の機器に対して有資格者が実施する義務があります。圧縮機の定格出力が7.5kW以上の機器については、1年に1回以上の点検が必要です。定期点検では冷媒圧力や温度の測定、フロンガス漏えい検知器を用いた直接検査を行います。
これらの点検結果は記録として保存し、万が一フロン漏えいが確認された場合には速やかな修理が求められます。さらに年間漏えい量が一定の基準(1,000CO2トン)を超える場合、所轄官庁への報告義務も発生します。これを怠ると、罰則が科されるため注意が必要です。
フロン排出抑制法とは、正式名称を「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律」と呼ばれ、地球温暖化の原因の一つとされるフロン類の排出を抑制するために策定された法律です。
本法は、特定の業務用冷凍空調機器などに使われるフロン類に関して、適切な管理・点検・廃棄などを求めることで、フロンの大気中への放出を抑え、地球環境の保全に貢献することを目的としています。日本ではかつて、オゾン層を破壊するフロン類(CFCなど)の規制をオゾン層保護の観点から進めてきました。しかし、その代替フロン(HCFCやHFC)も温室効果ガスとして地球温暖化に寄与することが明らかとなり、新たにフロン排出抑制法が整備されました。本法はフロン類を取り扱う全ての事業者・所有者に責任を課し、フロン排出を抑えることを求めています。
フロン類は冷蔵庫やエアコン、業務用の冷凍・冷却設備などに広く使われてきました。その理由としては、フロンが化学的に安定で無色・無臭かつ毒性が低く、扱いやすい特性があるためです。しかし、一度大気中に放出されると長寿命であり、オゾン層の破壊や地球温暖化への影響が深刻化するリスクが高いとされています。
オゾン層破壊が問題視され始めた時期には、国際的にモントリオール議定書が締結され、CFCなどのフロン類の生産および使用が規制されました。その後、オゾン層破壊の影響を抑えるためにHCFCへの転換が進んだものの、これらも地球温暖化係数(GWP)が高いことから、抜本的な削減策が必要となりました。
そこで新たにフロン排出抑制法が制定され、フロン類の製造から廃棄に至るライフサイクルの管理を徹底することが求められるようになりました。
フロン排出抑制法の目的は、「フロン類の大気中への排出を極力抑える」ことです。その具体的な方策として、以下のようなポイントが掲げられています。
これらの取り組みによって、フロンが有する高い温暖化係数による気候変動への悪影響を低減させ、さらにオゾン層破壊物質の使用をゼロに近づけることが狙いとされています。
フロン排出抑制法では、フロン類を使った製品や装置の「管理者」に大きな責任が課せられます。具体的には、業務用のエアコンや冷凍・冷却設備などにフロンを使用している場合、それらの管理者は以下のような義務を負います。
特に、業務用の空調・冷凍設備は大量のフロンを使用している場合があり、日常のメンテナンスや定期点検の実施の有無がフロン排出量に大きく関わるため、管理者の意識が重要となります。
機器に充填されたフロンが経年劣化や故障で漏洩すれば、大気中に放出されるフロン量が一気に増加します。そのため、フロン排出抑制法では、漏洩を早期発見するための定期点検が義務付けられています。業務用の冷凍空調機器の管理者は、製造メーカー等が示す指針に沿って定期的に点検を行い、問題がある場合は迅速に修理・補修を行わなければなりません。
点検は、大きく「簡易点検」と「定期点検」に分かれます。簡易点検では主に視覚的な確認や異音・異臭の有無など外観を中心に行い、定期点検では機器の性能や圧力の状況など、より専門的・技術的なチェックが実施されます。特にフロン類を一定量以上充填している機器では、資格を有する専門業者に依頼して点検を行うことが重要です。
機器を廃棄する際は、内部に残っているフロン類を必ず回収し、環境中に放出されないようにする必要があります。フロン排出抑制法では、業者によるフロンの回収義務が規定されており、管理者自身も適切な処分を手配する責任があります。
フロン類は再利用や破壊処理によって、環境への影響を抑えられるため、回収方法や破壊技術の選定も含めて慎重な対応が求められます。
適正にフロンを回収せずに機器を解体・廃棄すると、大気中への大量漏洩を招く恐れがあります。そのため、管理者は廃棄時のプロセスを理解し、認定を受けた業者に回収と処分を依頼しなければなりません。フロン類はCO2などと比較して温室効果が高いガスであり、フロンの削減は地球温暖化対策の中でも特に効果的な取り組みとされています。例えば、代替フロンとして使用されるHFCの中にはCO2の数千倍もの温暖化係数を持つ種類も存在し、わずかな漏洩が大きな温室効果に直結する可能性があります。
さらに、モントリオール議定書に基づくオゾン層破壊物質の段階的削減策とあわせ、フロン排出抑制法による国内対策が進むことで、国際的な評価にも寄与します。持続可能な社会を目指す上で、エネルギー関連の取り組みだけでなく、フロンの漏洩防止や代替技術の開発にも力を入れることが重要です。
機器の廃棄時にも、フロンガスの取り扱いは厳格に管理されています。冷暖房機器には使用済みのフロンガスが残存しているため、これを回収せずに廃棄する行為は法律違反となります。廃棄の際は、専門業者によるフロンガスの回収作業を依頼し、回収証明書の発行を受けることが義務付けられています。
回収されたフロンガスは再利用される場合もあれば、分解・破壊処理が行われることもあります。管理者はこれらの証明書を3年間保存する必要があり、違反した場合には厳しい罰則が科されます。
現在、業務用冷暖房システムでは環境負荷を低減するため、GWPの低い冷媒への移行が進んでいます。
フロンガスに関する法規制は今後さらに厳格化されることが予想されるため、機器の新規導入や更新時には、低GWP冷媒を採用したシステムの選定が不可欠です。現代の業務用エアコンは省エネルギー性能にも優れており、運用コストの削減と環境配慮の両立が実現できます。
業務用冷暖房システムの管理者は、次のアクションを確実に実施する必要があります。
定期点検を徹底し、簡易点検および定期点検を計画的に実施することで法令遵守を行います。点検結果は適切に記録し、異常があれば速やかに修理を行いましょう。また、老朽化した機器やR22冷媒を使用する機器は低GWP冷媒機器に更新し、廃棄時には専門業者に依頼して確実に回収してもらうことが重要です。
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2022年9月15日現在、「輻射式冷暖房」「放射式冷暖房」で検索して表示された輻射式冷暖房メーカー35社のうち、納入事例数が多い2社(※)をピックアップしました。
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