ホテルにおいて、宿泊客の満足度にも影響する冷暖房設備。しかし、稼働音が宿泊客からのクレームに繋がったり、煩雑なメンテナンスに悩まされたりすることも少なくないでしょう。輻射式冷暖房は、こうした悩みを改善できる可能性があります。ここでは、輻射式冷暖房の効果的な使い方と導入事例をご紹介します。
輻射式冷暖房は送風口がなく、稼働音も小さいのが特徴です。客室へ導入しても、宿泊客は音をほとんど気にせず過ごしてもらえるでしょう。また、フィルター・ファンがなく、パネルを拭き掃除するのみで済みます。複雑なメンテナンスが不要なため、業務効率化やコスト削減にも寄与します。

製品名
F-CON
解説
F-CONという輻射式冷暖房を導入したホテルの事例です。福岡市内にあるホテルで、睡眠の質にこだわっています。施設内にはエアコンが設置されておらず、輻射式冷暖房のみで空調を整えているのが特徴。輻射式冷暖房は温度ムラや音がないため、快適な入眠環境の実現に寄与しています。
このように、輻射式冷暖房をホテルの強みとしてアピール材料にしたり、競合との差別化に活かしたりすることも可能です。

製品名
F-CON
解説
京都市にある宿泊施設の事例です。木造2階建てで、京町家をリノベーションしています。施設内はエアコンがなく、輻射式冷暖房を数台設置しています。風が出ないため、直接体を冷やす心配がなく、風によってホコリが舞うこともありません。遠赤外線で冷暖房を行うため、宿泊客は静かな客室でゆったりと過ごすことができます。
ホテルに導入できる空調設備の種類には、どのようなものがあるのかについて紹介します。
全館空調はセントラル空調や中央式空調とも呼ばれ、中央管理室などでまとめて空調の制御を行うシステムのことです。ホテルのような人の出入りが多く、広いスペースのある建物だと個別空調での温度・空調管理が難しいため、建物内の温度を一定に保つ全館空調が適しています。
全館空調の種類にファンコイルユニット方式があり、ファン(送風機)とコイル(熱交換器)をユニット化した空調機で冷暖房を行うのが特徴です。ファンコイルユニット方式は、冷温水を供給する配管の仕様によって「2管式システム」「4管式システム」に分かれ、それぞれで特徴が異なります。
冷温水を供給する配管を往復で各1本、合計で2本配管する空調システムのことです。夏期は冷水、冬期は温水を循環させることで冷房または暖房のいずれかを働かせる仕組みになっています。
4管式システムに比べてイニシャルコスト・ランニングコストを抑えられる一方で、冷暖房の同時運転ができないのがデメリットです。宿泊客に合わせて冷房・暖房を選べないため、クレームにつながりやすくなります。
4管式システムは冷温水を供給する配管が冷暖房それぞれ往復各1本、合計で4本配管されているのが特徴です。冷房と暖房の同時運転が可能ですが、2管式システムに比べてイニシャルコスト・ランニングコストが高いのがデメリットになります。
全館空調のメリットとしてまずあげられるのは、中央管理室ですべての空調の制御を行えるため、個別にコントロールする手間が省ける点です。また、管理スペースも1箇所で済むので、個別空調に比べてスペースを削減できるのもポイント。温度差が生じるのを回避でき、静音性に優れているのも全館空調のメリットです。
全館空調はすべての部屋をまとめて制御できるメリットがある一方で、個別に温度・風量の調節を行えないのが難点です。
部屋ごと・お客様ごとの暑い・寒いといった要望に応えられず、クレームにつながってしまうことも。また、冷暖房を同時に稼働できない2管式システムだと、季節の変わり目などの温度調整が難しいというデメリットもあります。
そのほか、全館空調が故障すると、建物全体の空調がストップしてしまうという懸念点も考慮しないといけません。
可変風量方式の全館空調なら室内の温度差を感知するセンサーが搭載されており、風量の調節が自動で行われるので個別制御が可能です。
全館空調がすべての空調をまとめて制御できるのに対し、個別空調は各部屋で温度調整などができるのが特徴です。個別空調の種類は大きく分けて「パッケージエアコン」と「マルチエアコン」の2種類あり、それぞれで室内機と室外機の関係が異なります。
パッケージエアコンの場合は室外機と室内機が1対1の関係ですが、マルチエアコンの場合は室外機と室内機が1対多数の関係になるという違いがあります。
個別空調のメリットは、やはり何と言っても部屋ごとに温度や風量を調節できることです。また、冷暖房が必要な部屋や場所にだけ使用できるのも個別空調ならではのメリットと言えるでしょう。そのほか、故障した場合も施設全体の冷暖房機能が止まるということがなく、個別に修理が可能。交換も容易に行えるというメリットがあります。
個別空調は自由に温度や風量を調節できる反面、使い過ぎると光熱費が高くついてしまうのが難点です。また、建物の設計・構造上の問題で室外機置場を確保できなかったり、室外機の設置場所によっては建物の外観を損ねてしまったりする場合があります。
全館空調と個別空調は併用することで、それぞれのデメリットを補うことができます。組み合わせとしては全館空調で建物全体を管理し、補助として各部屋に個別空調を設置するというのが一般的です。暑さ・寒さの感じ方には個人差があるため、個別空調で風量や温度を調節できるようにすることで、宿泊客の満足度を高めることができます。
増加傾向にある訪日外国人のなかには、環境に配慮しているかどうかをホテル選びのポイントにしている方もいます。省エネ対策に取り組むことで、環境への意識の高い訪日外国人観光客にアピールすることが可能です。また、省エネ対策によって年間の光熱費を削減することは、営業利益を増やすことにもつながります。
ホテルで取り組める省エネ対策には、どのようなものがあるのかについて見ていきましょう。
エアコンの運用ルールを設定し、不必要にエアコンを使用しないようにしましょう。「冷房は室温〇度以上、温度設定〇度」のような使用基準をリモコンの上に貼っておくと、宿泊客と一緒に省エネ対策に取り組めます。また、清掃時においても「外気温度が低いときは窓を開けて外気で冷房する」などの運用ルールを設定しておくと、エアコンの効率的な使用を促せます。
空調で設定した温度が実際の室温と同じとは限りません。室温が適正温度になるように温度計で室温を確認してから、リモコンの設定温度が適正になるように調整しましょう。
一般的に冷暖房の設定温度を1度緩和すれば、空調エネルギー使用量を約10%削減できるとされています。ちなみに東京都が推奨している室温の適正温度の目安は「夏期28度・冬期20度」です。宿泊客の節電意識を高めたい場合は、客室に標準設定温度を明記しておくと良いでしょう。
空調の運転時間を適正化するためにも、宿泊客のチェックアウト時には空調をオフにするように心がけましょう。室温の温度を宿泊客が自由に調節できる場合、夏場は適正温度よりも低く、冬場は高く設定しがちです。清掃時に空調の温度を確認し、適正な設定温度に戻すようにしましょう。
外気導入量を削減することによって、空調負荷の削減が図れます。特に宿泊客が少ないチェックアウトとチェックインの間は、外気導入量の削減が可能な時間帯です。また、外気導入にインバータを用いたファンなどを使っている場合は、回転数を制御することによってファンの電力使用量を削減できます。
空調機内やフィルターが汚れていたり目詰まりしていたりすると、運転効率が大幅に低下し、エネルギーの過剰消費の原因になりかねません。空調機内やフィルターを定期的に清掃することで、年間5~10%の省エネ効果が期待できるとされています。
フィルターの清掃は、定期的に掃除機でホコリを吸い取るだけでも効果的です。
熱交換を行う室外機のフィンコイルがホコリなどで汚れていると、熱の伝達が悪くなって空調設備の能力が低下します。そうなると運転時間が長くなって消費電力も増加してしまうため、専門業者に依頼して定期的な清掃と点検を行うようにしましょう。
室外機フィンコイルの定期洗浄は汚れの度合を確認しながらですが、2~3年に1回程度が目安です。
複数台の室外機を並べて設置する際、室外機の排気が隣の室外機に流れ込む現象をショートサーキットと言います。ショートサーキットが生じると機器効率の大幅な低下を招いてしまうので、狭い空間に複数の室外機を並べて設置する場合は注意が必要です。
また、室外機の周辺に壁や障害物がある場合も排気の妨げになる恐れがあるので、室外機の周囲には何も置かないようにしましょう。
制御装置の進歩などによって空調設備の運転効率が向上しており、消費電力の出力を抑える機能を搭載した機種も登場しています。既設の空調設備だと機器の経年劣化によって運転効率がどうしても低下してしまうため、運転効率の良い最新機種に買い替えるのも1つの選択肢です。
1部屋に1つ以上窓があるホテルであれば、複層ガラスや遮熱フィルムを導入することで、空調設備のエネルギー削減効果を得られます。
複層ガラスとは、2枚のガラスの間に乾燥した空気を封入したガラスのこと。複層ガラスの内面部に特殊な金属膜を設けた遮熱タイプのLow-eガラスを室外側のガラスに使用することにより、外部からの日射熱が室内に入るのを防いで、冷房負荷を低減できます。
冬場は室内の暖房熱がLow-eガラスに反射することで、熱を外部に逃がさずに暖房効果を高めることが可能です。
また、窓に遮熱フィルムを導入することでも日射熱を大幅にカットすることができ、室内環境の改善と冷房負荷の低減につながります。有害な紫外線をほとんどカットしてくれるのも嬉しいポイントです。
快適な宿泊環境の実現に寄与する輻射式冷暖房。風が出ない・稼働音が少ないという利点を売りにすることもできます。ただし、導入する際は施設の規模・状況に合わせた製品選びが必要です。導入の際は、専門知識がある業者やアドバイザーに相談して製品を決めましょう。
条件に合った
輻射式・放射式
冷暖房が見つかる

2022年9月15日現在、「輻射式冷暖房」「放射式冷暖房」で検索して表示された輻射式冷暖房メーカー35社のうち、納入事例数が多い2社(※)をピックアップしました。
※個人住宅への納入事例は除く。
