カーボンニュートラルは、排出される温室効果ガスと吸収・オフセットされる量を差し引いて実質ゼロにする取り組みのことです。近年、世界各国で気候変動対策を強化する機運が高まっており、企業や自治体レベルでも脱炭素社会の実現が不可欠とされています。ここでは、その背景とともに、国土交通省の事例集から分かるカーボンニュートラルの要点をご紹介します。
カーボンニュートラルとは、二酸化炭素(CO2)をはじめとする温室効果ガスの排出量と、森林などによる吸収量や削減活動によるオフセットを組み合わせて、全体として排出量を実質ゼロにする考え方です。まず重要なのは「排出削減」です。これは、省エネやエネルギー効率の改善、再生可能エネルギーの活用などによって、可能な限りCO2の排出を抑えることを指します。
次に「吸収・オフセット」という手段も併用されます。削減だけではゼロにできない分の排出については、森林整備やカーボンクレジットの利用などを通じて相殺し、バランスを取ります。
このように、排出と吸収の両面からアプローチすることで、大気中へのCO2の影響を最小限に抑え、最終的にカーボン排出がニュートラル(±0)の状態を目指すのがカーボンニュートラルの基本的な考え方です。
カーボンニュートラルの実現は、世界的に重要性が高まっている課題として認識されています。企業や自治体が取り組むべき理由は、主に以下の3点に集約されます。
カーボンニュートラルを実現するためには、建物や設備のエネルギー管理を最適化し、排出量を可視化・削減していくことが重要です。以下のような観点が実践の中心となります。
カーボンニュートラルの取り組みとしては、建物単位での空調最適化や、電力使用を調整するデマンド管理システムの導入などが挙げられます。これにより、エネルギーの無駄を抑え、効率的な運用が可能になります。
光熱費の削減によるコストダウンはもちろん、環境への取り組みを明示することで企業価値が向上し、投資家や顧客からの信頼を得る要素にもなります。ESG評価向上にもつながります。
AIによる自動制御やBEMS(Building Energy Management System)などのIT技術を活用することで、エネルギーの使用状況をリアルタイムに把握・管理できます。これにより、人的負担を抑えながら高精度な省エネ対策が実現できます。
国土交通省がまとめた「都市行政におけるカーボンニュートラルに向けた取組 事例集(2023年3月)」では、日本各地の自治体が推進する脱炭素施策が体系的に示されています。交通や街区開発とエネルギー施策を一体的に進める方法、官民連携の枠組みや、国からの支援策の活用事例、脱炭素先行地域の取り組み方針が紹介されています。
札幌市:都心エリアで地域冷暖房を導入し、熱導管で複数の建物をつなぐ取り組みを進めています。こうした面的なエネルギー利用は、個別建物で導入するより効率が高く、防災面でもメリットがあるとされています。
参照元:国土交通省「都市行政におけるカーボンニュートラルに向けた取組事例集」
宇都宮市:LRT(次世代型路面電車)の導入を軸に、街のコンパクト化と公共交通の利用促進を図っています。再生可能エネルギーと公共交通を組み合わせることで、CO2排出量の削減だけでなく、街の利便性向上や経済活性化を目指しています。
参照元:国土交通省「都市行政におけるカーボンニュートラルに向けた取組事例集」
駅周辺の都市再生と連携し、「ウォーカブルな都市空間」の形成と脱炭素化を同時に進めています。
具体的には、浦和美園エリアでAIオンデマンド交通(「みそのREDタクシー」等)の実証や、市内でのAIデマンド交通の実証を実施し、再エネを活用したEVカーシェアを含むスマートコミュニティの取組も進めています。これらにより、移動利便性の向上とともに、EV・公共交通の活用を通じた移動の脱炭素化を図っています。
参照元:国土交通省 都市局 都市政策課
(https://www.mlit.go.jp/toshi/kankyo/content/001602419.pdf)
都心部の活性化を図るSMI(堺・モビリティ・イノベーション)プロジェクトを推進し、移動環境の変革に注力しています。
主な取組は、次世代都市交通(ART)の導入検討と自動運転バス(BYD J6 =EVバス)等の実証運行、およびシェアサイクルポートの拡充です。これらにより、都心部の利便性と魅力を高めるとともに、モビリティの電動化・シェアリングによる脱炭素化を進めています。
参照元:国土交通省 都市局 都市政策課
(https://www.mlit.go.jp/toshi/kankyo/content/001602419.pdf)
地域固有の課題解決と脱炭素化を連携させ、中心市街地の活性化を進めています。新市立病院は設計段階でZEB Ready(BEI=0.43)を認証取得しており、国内の同規模病院で最高水準の省エネ性能が示されています。
また、観光客向けEV充電器の整備やEVカーシェア導入により「EV宿場町」を目指しており、再エネの地産地消、防災力の強化、中心市街地の賑わい創出につなげています。
参照元:国土交通省 都市局 都市政策課
(https://www.mlit.go.jp/toshi/kankyo/content/001602419.pdf)
世界遺産である姫路城周辺を中心とした都市再生と脱炭素化を推進しています。観光資源の象徴である姫路城のライトアップをLED化することで、CO2排出量実質ゼロとなる「ゼロカーボンキャッスル」の実現を目指しています。
さらに、市の遊休地を活用したコーポレートPPA(電力購入契約)モデルにより、姫路城や周辺の公共施設へ再生可能エネルギーを供給し、地域内でのエネルギー地産地消を強化しています。
参照元:国土交通省 都市局 都市政策課
(https://www.mlit.go.jp/toshi/kankyo/content/001602419.pdf)
官民連携による大規模な都市再生プロジェクトと、カーボンニュートラル化を一体的に進めています。
具体的には、阪神タイガースファーム施設誘致に合わせ、再エネ設備を導入した「ゼロカーボンベースボールパーク」計画を推進。ファーム施設や周辺の公園、駅舎などの脱炭素化を進めるほか、アクセス手段としてEVバスの導入も実施。スポーツ施設を核として、周辺エリア全体の環境価値向上と地域活性化を目指しています。
参照元:国土交通省 都市局 都市政策課
(https://www.mlit.go.jp/toshi/kankyo/content/001602419.pdf)
ロンドンでは、脱炭素化を強く推進する行政の意向に基づき、大規模開発時に地域熱供給システムへの接続検討を義務化しました。開発者は分散型エネルギーネットワーク(DEN)への接続を求められ、土地所有者の無償提供等により熱料金が低減される仕組みを構築。
これにより、開発事業とエネルギー施策が連動し、CO2削減と安価なエネルギー供給を同時に実現しています。
参照元:国土交通省 都市局 都市政策課
(https://www.mlit.go.jp/toshi/kankyo/content/001602419.pdf)
第一次石油危機以降の国策に基づき、自治体が地域熱供給エリアを指定し、接続を誘導する制度を導入しています。法改正により接続自体は義務ではないものの、指定エリア内で個別暖房ポンプへの政府補助金を停止することで、事実上、熱導管への接続を促進しました。これにより、熱需要の安定性を高め、費用対便益を分析した上で、地域暖房を低価格で安定的に提供しています。
参照元:国土交通省 都市局 都市政策課
(https://www.mlit.go.jp/toshi/kankyo/content/001602419.pdf)
自動車交通による大気汚染や騒音、交通事故などの課題解決のため、既存市街地に「スーパーブロック」(約400m四方の街区)を導入しました。街区内は自動車の通過交通を規制し、速度を時速10kmに制限することで、緑地や遊具などのソーシャルスペースを確保します。この施策は、交通整理から構造変革に至る段階的なステップで進められ、市民生活環境の向上と公共交通への転換による脱炭素化を促しています。
参照元:国土交通省 都市局 都市政策課
(https://www.mlit.go.jp/toshi/kankyo/content/001602419.pdf)
鉄鋼業の衰退、食料不足、大規模な洪水といった複数の地域課題に対し、住民主導で「エコディストリクト」の認証を取得し、持続可能な地区開発を実施しました。洪水対策のためのグリーンインフラ(植樹、バイオスウェールなど)や、公共施設への太陽光パネル設置による再エネの自家発電施設の整備を進めています。地域のNPOや行政が協働し、地域の課題解決と脱炭素化を両輪で進めています。
参照元:国土交通省 都市局 都市政策課
(https://www.mlit.go.jp/toshi/kankyo/content/001602419.pdf)
カーボンニュートラルの実現には、コストや住民・企業との調整が必要です。企業・自治体・市民が連携し、それぞれの役割を果たすことが成功の鍵です。国交省の事例集などを参考にしながら、先進事例を柔軟に取り入れる姿勢が求められます。
条件に合った
輻射式・放射式
冷暖房が見つかる

2022年9月15日現在、「輻射式冷暖房」「放射式冷暖房」で検索して表示された輻射式冷暖房メーカー35社のうち、納入事例数が多い2社(※)をピックアップしました。
※個人住宅への納入事例は除く。
